BLOG

西村邸の想いと、愛すべきクラフトマンシップにふれる読み物です

感染症騒動のおかげで、宿屋は畑を始めることになりました

こんにちは。

 

前回の記事の最後に少し書きましたが、西村邸の裏庭で小さな畑を始めました。
裏庭はこれまで、改修の時につかった資材を置いていたりして、活用できていない最後の空間でした。
今回の感染症拡大による営業縮小で、時間ができて片づけを終えられたのと同時に、いろいろと思うところがあり、野菜づくりに挑戦してみたくなりました。
今週は「なぜ始めたのか」を少し書いていきますね。

 

 

まず一つに、“自給自足”に関心が向いたこと。
今回の混乱の初期、「いろいろな物資や食料の供給がストップしてしまうのではないか」という不安を、多くの人が感じていたはずです。
実際は、社会を支えてくれる方々のおかげで、そういった事態にはなりませんでしたが、次に大きな混乱が起きた時にも、同じように大丈夫だという確証はありません。
また「自分の生活圏外から運ばれて来るものが、一緒にウイルスを運んできてしまうのではないか」こうした不安は、大なり小なり、いまもみんなが感じているのだと思います。

 

これまで、“地産地消”という言葉を自分事として考えられる人は、決して多くなかったと思います。そういう人にとって今回の混乱は、個人レベルでリアルな実感を与えてくれる、ひとつの機会になったのではないでしょうか。

実際に、家庭菜園を始められた方も多いと聞きます。

 

 

そしてもう一つ、お客さんに商品を提供するお店として、「健康的な生産と供給を考えていきたい」という点があります。
(“家庭菜園”というと、「自分で楽しむために育てる」というニュアンスを感じるのですが、お店の商品を生産するつもりなので、大層に“畑”と呼んでみてます笑 実際の場所は、“畑”と呼ぶにはとても小さい庭です。)

 

「たくさん売るために、たくさん作ろうというスタイルに不安を感じている」というのは前回書いた通りです。

ウイルスと地球と生きるために、やっぱりぼくは“数”を超えなくてはいけない

 

世の製造業は大規模になればなるほど、「生産ロット」という概念と切っても切れない関係になります。(農業もそうでしょう。)作らなくてはいけない量、そして売らなくてはいけない量がまずあって、それに合わせた販路を整えて、ドカンと市場に放り込む。
そういうやり方でないと作れないもの、できない商売があることも承知しています。

 

が、幸い西村邸は、そこまで大きなビジネスをする必要はありません。
自分で生産の手綱を握り、必要十分な生産量と供給量を探っていく。この“畑”は、そのための実験の一つだと思っています。
将来的にも、「すべての原料を自分たちで生産する」というのはありえないと思いますが、考えるきっかけになれば十分なんです。
ぼくは、“ものづくり”について思うことがあると同時に、いろいろな意味で“自分の手を汚さない”ままそれを語ることに、後ろめたさも感じています。このあたりで、自分なりにひとつ踏み出してしておきたいな、と。

 

 

今回のサムネイルにしている写真のように、小さな苗を植えました。
見る人が見れば一瞬でわかるんですが、土づくりなんかは、全然できていません。もともと、耕作用の場所ではないですし…。
植え付けに適した初夏の気候を逃したくなかったので、本格的な土づくりは見送りました。いつもなら「しっかり準備してからやらないと!」と思うタイプなのですが、「ダメだったら来年やりなおせばいいや~」と気楽な気持ちで初めています。

 

ほんのちょっと堆肥や石灰は入れました。このあたりとか、「何育ててるの?」みたいな話は、また次の機会に。

 

緊急事態宣言の解除もはじまりました。個人的に、トンネルの出口が見える感覚はまったくないのですが、ゆっくりとリラックスした暮らしに戻っていければいいですね。
この自粛期間中、あなたの蒔いた種、植えた苗が、よい実りの季節を迎えられますように。一緒に水やりしていきましょう!

 

今週も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。