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西村邸の想いと、愛すべきクラフトマンシップにふれる読み物です

ウイルスと地球と生きるために、やっぱりぼくは“数”を超えなくてはいけない

主要都市の緊急事態宣言が発令されてから1か月が経ちました。

 

マスクをして、家に篭って。インターネットには自由な世界が広がっているかと思いきや、そこにもやっぱりデマと同調圧力をブンブンに振り回している人がたくさんいて。何につけても息苦しい日々が続きますが、心身の健康は保てているでしょうか。健康第一です。

 

ぼくはもともと家にいること、人と会わないことが、そこまで苦にならないタイプなので、いたって平穏に過ごしています。
流行りのオンライン飲み会もしていない。そもそもお酒をほとんど飲んでいません。Twitterも、タイムラインを見ている時間がグッと減りました。Twitterしないと、毎日いろんなことができてすごい!笑 (Twitterを見ながらいろんなことができている人は、ほんまもんにすごい…)

 

4月8日から、西村邸は衛生管理の難しい宿泊とカフェの営業をストップし、1日1組限定の貸切レンタルスペースとして営業しています。

 

営業形態変更のお知らせ

 

いろいろな方のおかげさまで、「縮小営業の工夫」としてマスメディアにも取り上げていただいています。それを見た新規の方、以前からお馴染みの地域の方に利用してもらい、普段の営業には及ばないながらも、売上が立っています。ありがたいことです。

 

こういうふうに露出が増えたり、直近の売上が立つことは、もちろん大きな手応えなのですが、自分自身の気持ちの整理ができているという面でも、今回のレンタルスペースの施策は、やってよかったなと思います。
今日はなんとなく、そんなことをつらつらと書いていきます。

 

 

衛生とゴミ問題の天秤

きっと、完全に元の世界に戻ることはないでしょう。良くも悪くも。
ぼくたちはこれからも、突然降って湧く災厄に対して、常にクラウチングスタート体勢で身構えていなければならないのです。特に事業者は。

 

この期間中、温室効果ガスは減っているそうです。工場や人の移動が減ったから。

 

ですが、つい半年前までマイクロプラスチック問題で肩身の狭い思いをしていたであろう、使い捨て容器・食器業界は、めちゃくちゃな好況の只中にいるはずです。まだ3月の半ばでしたが、スターバックスコーヒーで生まれて初めて、マク〇ナルドみたいなぺらぺらのプラスチックカトラリーを使ったときには、泣きそうになりました。

 

この春、いろんな小売店がレジ袋の有償化に踏み出すと耳にしていましたが、結局レジ袋がぜんぶ、ECで買われた商品の段ボールと包装フィルムに置き換わりました。(Amaz〇nのフィルム、うぬぬ…ってなりません?)

 

この不可逆性はなかなかのものだと思います。事業者も消費者も、常にクラウチング体勢でいなければならないのです。これまで使い捨て容器を持っていなかった飲食店が、常備するようになるかもしれません。
日本の包装は過剰すぎると常々言われてきましたが、衛生の観点から、海外が日本に追従する未来も大いにありえるのでは、と心配になります。

 

飲食一本でやっている飲食店さんが、テイクアウトに舵を切るのは当然のことだと思うし、奈良のそういうお店を応援したい気持ちはあります。
ただ、西村邸がテイクアウトのお弁当を作ることは選びませんでした。1ミリも迷わず。未だにプラカップひとつ、買いたくありません。

 

宿泊という体験を売れないのであれば、PBでモノをつくって、お家に世界観をとどけられるECをゴリゴリやろう!みたいなのもまだポジティブになりきれていない。「自店ロゴ入りのプロダクトを作らない」というのは、西村邸の目標の一つです。
EC自体は、ゆくゆく挑戦してみたいものの一つではありますが…。

 

またこういうふうに、やりたくないことが増えていく…。

 

 

これから考えるべき”数を超える”こと

一方で先に話したように、貸切レンタルスペースには手ごたえを感じているので、もっといろんな可能性を確かめていきます。
限られた人数で、誰にも邪魔されず西村邸の空間を楽しむ体験は、いちばん提供したいものの一つです。宿泊以外にも、その方法はある。宿泊を再開できた後も、うまく両立しながら今回に似たプランを続けたいと考えています。

 

「1日に何人来たか」じゃないんだろうなと思いました。「〇〇人来ないとペイできない」という企画は、この場所に必要ないし、そぐわないのかもしれません。
再開後のカフェの在り方も、練り直す必要性を感じています。ガリガリ仕入れて、ガリガリ回転させる仕組みは脆い。
地元の人には使って欲しいので、サブスクとか…「毎月固定収入ができる」っていうのは、サブスクのほんの一面に過ぎないのだと、最近読んだ本などから感じています。

 

 

同じように消費者が旅をすることのリスク、事業者が旅を前提に事業をするリスク、この意識は以前より格段に高まるでしょう。それを乗り越えて、やっぱり来ていただかないといけない。来て欲しい。
それだけのものを、施設全体はもちろん、ぼく自身が備えないといけない。そう思います。
インターネットを通じた配信はレバレッジが効きますが、リアルではそうはいかない。やっぱり数を前提にしたままでは、難しいことです。

 

外的要因で簡単に変動するような、数を追求しない。
数を前提にした、施策/企画をうたない。
来てもらえる理由に、自分自身がならないといけない。

伝染病が常態化する世界でも―そんな世界だからこそ
地球環境と生きていくことを考える。そのために、“数”を超える。

 

こういうことを、しっかり確認しながらテーブルの上に並べられました。どう形にしていくか。
これから、外部の方のお知恵とお力添えも頂きながら、ぐぐっと力を入れていく予定です。

 

あと、かなり安直な気もしますが、小さな畑をします。安直だなぁ笑 以前から構想はしていたのですが、この縮小営業期間でぐっと進んだということで…次回の記事のネタが“コンパニオンプランツ”になっても、見捨てないでくださいね。

 

今日もおつきあいいただき、ありがとうございました。
あなたと周囲の大切な人が、健やかに暮らせますように。