西村邸のもの選び
いま、改めて西村邸のシャンプーを選んでいます。昨年末のオープン時に仮で選んでいたものが、廃番になってしまうようで。
西村邸を見て「もの選びに、杉本さんのこだわり/センスを感じますね!」と褒めていただくことも多く恐縮してしまうのですが、実はぼく自身、ものを選ぶことにあまり慣れていません。
なぜかと考えれば、ミニマリスト体質だからだと思います。いわゆる雑貨的なもの、見るのは嫌いではないのですが、実際に選んで買う機会は、どんどん少なくなっています。実際に生活の中で使いましょう、というものをバチッ!と決められない。決めた経験が少ない、と言えます。ものを買うということに慎重なんですよね。(あと、プライベートでは後述する某企業に頼り切りだからというのもあるでしょう。)
例えば花瓶なんかは、これの最たるものかもしれません。かなり困っています。さりげない色気のある花瓶をいくつか揃えていきたいとき、最初に買うのはどんなものがいいの??有識者のアドバイスをお待ちしています…笑
シャンプーも、大きな声で言うのはちょっと気恥ずかしい事情で、もうずっと選んでいません。どうしたものかと思いながら、ネットで検索して、レビューを見て、実際に小さいの買ってみて、の繰り返しです。
この過程でいろいろ考えながらふと、西村邸で使うものを選ぶときの指標を一度決めてみようと思いました。まだまだこの先変わるかもしれませんが、ひとまずはこの5つ+1かな、と思います。
1.永く使える、あるいは永く使われてきたもの。
2.高価、高級、そして繊細すぎないもの。
3.子どもも使えるもの。
4.環境負荷を考慮しているもの。
5.できれば奈良のもの。
(6.決められなかったら…)
1.永く使われてきたもの、あるいは永く使えるであろうもの。
まずはこれを基本に。大きなものや家電なんかは、特にこの要素が大きいように思います。「飽きのこないシンプルなデザイン」という言葉も陳腐ではありますが、やはりひとつの基準です。
大きなものといえば、本棚&本箱を探し中。2月中にいくつか古家具屋さんにアタックして、そろそろ本も置いていきます。(本も選ばないと…)
2.高価、高級、そして繊細すぎないもの。
いたずらにラグジュアリーを目指さない。記号だけでテンションブチ上げてしまうようなブランドものや、変に身構えてしまう繊細過ぎるものは、できれば選ばないように。ちょっとあざといかもしれませんが、「おばあちゃんち」らしい素朴なヌケ感を演出するためでもあります。
器なんかも上を見るとキリがないんですが、いまあるのは、おばあちゃんちや実家にもともとあったものと、Buffという古道具店で仕入れたものがほとんどです。あと、ある種「現代民藝」とも考えている、シンプルな業務用食器もすこし。
作家さんの器も取り入れていきたいけれど、まだまだ慎重になってしまっています。今回の話題からはさらに深くなってしまいますが、「作家性」と「民藝」の落としどころが、まだ自分の中で掴めていない、とかいう事情もありそうです。
器と言えば、でさらに話がそれますが、4月の【器×食×奈良町屋】はおかげさまで、予約がほぼ埋まりました。まだ2か月前なのに…ありがとうございます。11日(土)夜の部が、まだ数席空いていますので、よろしければ。奈廬窯さんの器は使いやすそうなので、イベントの後、増えている予感がします。
3.子どもも使えるもの。
歯みがき粉は、これが決め手でした。大人と子どもの歯磨き粉が、かなりの別物だということを、選んでいて初めて知りました。シャンプーも、これが大切ですね。
まだまだファミリーにお泊りいただける体勢が整っているとは言えないのですが、いまから意識していきたい。
4.環境負荷を考慮しているもの。
特に消耗品。洗剤とか。100点満点は、目指したところで難しいのですが、できる限り原料や企業のWEBサイトを確認するようにしています。
またまた話がそれますが、レンタルスペースでご飲食される方へ。食器が必要な場合は、遠慮なく頼ってください。使い捨ての紙皿やコップ、買わなくて大丈夫です!!一緒に減らしていきましょう。「洗い物増やすのも悪いし~」と言ってくださる方が多いんですが、全然気にしないで。省エネ食洗器くんが全部やってくれます。
実は隠れた目標があって、使い捨てのあるものを廃止したいのですが、なかなかハードルを越えられないでいます…。
5.できれば奈良のもの。
食べ物とか中心に。「奈良だから!」の1点だけで選ぶことは、あまりありません。いいものなのは前提で、地域の経済に貢献していければ、という思いです。
ぼくが怠けているせいでまだちゃんと公表できていないのですが、タオルや歯ブラシは、ハイクオリティなメイドイン奈良です。春にはいろいろ整えて、ちゃんと公表しないと…。
ところで、山崎実業という奈良の会社をご存知の方はどれくらいいるでしょうか。一人暮らしを経験したことのある人の家には、だいたいここの製品があるんじゃないかと思っているんですが…笑 西村邸にもちょいちょいいます。余談でした。
6.決められなかったら…ひとまず無印良品につないでもらう
1〜4を、ある程度の水準でクリアしてくれるという信頼。そう、プライベートで持っているものは、7割以上MUJIな気がします。わかんないけど。
なんだかんだ言われますが、もしMUJIがなかったとしたら、「飾らない生活がいいよね…。」という価値観に、ぼくや多くの日本人、世界中の人がめざめるのは、もっともっと遅くなっていたのではないでしょうか。いまも応援しています。
客室枕元のライトには、【持ち運びできるあかり】を使っています。緊急避難用の懐中電灯を兼ねながら、寝室から少し離れたお手洗いに行っていただくための「行灯」です。ちょっと色気は足りないかもしれませんが、ここはガチガチのアンティークよりも、実際夜に使いやすい無印良品を選びました。ちなみに時計はブラウンです。
こんなことを考えながら選んでいます。難しい。
ただ、それぞれが完全に独立した選定基準というわけではないですよね。シンプルで永く使えそうなものや、いろんな人の手を渡って永く使われてきたものは、無闇に繊細過ぎない。子どもが使えるものは、天然の素材が多く、環境負荷も低い。そういう複合的な価値観が、モノという形に凝縮されているんですね。
ぼくの知識も資金もまだまだな中、何もかも理想のものを選ぶことはできません。宿泊施設としてまだまだ十分とは思っていないし、お褒めの言葉にお応えするためにも、ちょっとずつ見直していきますね。余所のお店に行ったとき、小さいもののセレクトにふと目が留まる感覚は、ぼくも好きですから。