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西村邸の想いと、愛すべきクラフトマンシップにふれる読み物です

輪郭線を引く

こんにちは。昨日の定休日はなんやかんやバタバタしていて、投稿が1日ずれました。

何でバタバタしていたかというと、主にプレスリリースです。今週、初めて自分でプレスリリースをといつくるという経験をしました。WEBサイトのURLも載せたので、見てくれている方がいると嬉しいなぁ、と思いながら書いています。

 

お門違いかな、とも思いながら、女性ファッション誌にも送らせていただきました。「ライフスタイル」的な特集の流れで、「いま泊まりたい京都・奈良のホテル」みたいなのも、ファッション誌に掲載される時代です。
…「時代です」と言いましたが、ぼくが知らないだけで、ずいぶん前からそうだったのかもしれません。
『non-no』さん(さんづけです笑)のウィキペディアには、こんなことが書いてありました。

 

女性ファッション誌の老舗として、1970年代には『an・an』とともに旅行特集を掲載し、アンノン族と呼ばれる、ファッション雑誌やガイドブックを片手に一人旅や少人数で旅行する若い女性を生み出した。

 

「へえええ~~~!!」となりました。昔からあったんですね、旅行特集。そもそも、50年近く続いている雑誌だということにも、改めて感動です。

 

ぼくは、女性誌を興味深く読める男です。東京でデザインの仕事をしていた時の、化粧品の広告やパッケージの開発に関わらせてもらった経験も、ひとつの理由だと思います。西村邸の持っていきたい方向性、トーン&マナーの研究に、女性誌を見比べてみたりもしています。
どういう雑誌を読んでる人に来てほしい??平たく言うと「ペルソナ」なんですが、「特定の雑誌の読者」って、やっぱりペルソナとして輪郭が強い。選ぶ服も、食べるご飯も、旅行先も、泊まるホテルも、雑誌の名前を通して、なんとなく見えてきます。(良くも悪くも、ですが、今日は良いよねという話です。)

 

(これは、ぼくの研究不足も大いにあると思いますが、)WEBメディアやキュレーションサイトは、まだまだ若いところが多く、見えてくるペルソナの輪郭が鈍い印象です…。
紙媒体での出版は、商売としてやるにはコストがかかるものです。WEBメディアが気軽に始められる現代、あえて雑誌という形をとるからには、しっかりと読者を作って、信頼されるものにしたい、そういう矜持が必要なのだと感じます。
まだ発刊から日の浅い雑誌でも、同じです。西村邸の方向性として「いいな」と思った、とあるファッション誌の出版社が、平成30年創業だと知って震えました。あえて、いま、なのか。そういうの好きです。
そしてもちろん老舗の雑誌には、編集者と読者が50年間繰り返してきた選択の厚みが、そのまま1枚1枚のページになって、ずっしりと感じられる。そういう信頼関係が、「特定の雑誌の読者」というペルソナを形作っているのだと思います。
(ただ、紙媒体万歳!ってことが書きたいわけではないです。同じように「いいな」と思ったWEBメディアには、リリース送らせていただいています~なにとぞ~!笑)

 

ここで、先週書いた「ホテルはメディアである」に戻るわけです。
西村邸がひとつのメディア―雑誌であるならば、編集者のぼくは、そこにはっきりとした輪郭を描けているだろうか。西村邸の伝えたいこと―奈良町を舞台にした、永く付き合えること と ものを愛する喜び―を、読者に伝える編集ができているか。読んでほしい読者の、信頼に応えられているか。選択ひとつひとつに、矜持をこめられているか…??

 

そんなことを、届いたばかりのKLIPPANのブランケットを見ながら思っています。数枚ですが、カフェで使えるひざかけとして、用意しました。
19世紀からナチュラルな生産を続けている、スウェーデンのメーカーのものです。デザインや機能はもちろん、環境との向き合い方にも、まさに矜持を持って取り組まれている企業です。また一つ、そういうものを選べたことを嬉しく思います。

 

実はこれ、あるお客さまからの紹介があって、用意することができました。オープン間もない10月、偶然西村邸を訪れてくださり、その後も、いろいろな人を連れてきてくださる方です。この方がいなかったら、KLIPPANのブランケットを西村邸に届けることはできなかったと思います。
今回のことは、ただ「新しく、いいブランケットを買った」というだけでなく、気に入って応援してくれる方のおかげで、次に来てくださる方へ伝えたいことを、また1ページ増やせた、という体験です。一緒になって、輪郭線を一本引けた、そういう体験なのです。これには、そのものの存在以上の嬉しさがあります。

 

まだまだリソースは限られている中、なにもかも納得するものを選ぶことはできず、もどかしい日が続くのですが。ご縁を繋いでくださる方と一緒に、じっくりじっくり、メディアとして、空間として育っていきたいと思います。

智子さん、明日香さん、この度はありがとうございました。大切にしますね。